本日、午前10時より本校香真館にて第68回 高等学校卒業式が行われました。
校長式辞
柔らかな春の日差しを浴び、厳しい寒さを乗り越え、桜のつぼみもようやく少し膨らみ始める季節となりました。希望と喜びに溢れるこの佳き日に、八田英二総長、理事長をはじめ、多数のご来賓の皆様のご臨を賜りますとともに、保護者の皆様のご列席をいただき、ここに2018年度同志社香里高等学校卒業式を挙行できますことを、心より厚く御礼申し上げます。
本日、本校を巣立つ306名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの卒業を心からお祝い申し上げます。振り返れば皆さんは、三年前、六年前、希望に胸を膨らませ、この香里の丘を上ってきました。以来、同志社の良心教育に基づく本校の教育をしっかり受け止め、勉学、部活動に仲間とともに励み、立派に高校生活を全うしました。皆さんのこれまでのたゆまぬ努力に、心から敬意を表したいと思います。
さて、これから皆さんが生きる時代は、少子高齢化、高度情報化、グローバル化と、急激に且つ急速に変化し、先の見通しが見えない世の中であると言われています。また、地球資源の枯渇や自然災害の多発など心配ごとも絶えません。昨年も大阪北部地震、西日本豪雨、北海道地震と、日本列島各地で自然災害が発生し、多くの方々が被災され、自然の恐怖にさらされました。このように、これからは地球規模でテクノロジーと自然の共存が重要な課題となり、また、既成概念では対応できない、新たな概念や価値観の創造が求められる社会へ変化していきます。そのような社会で活躍する皆さんに、二つのことをお話したいと思います。
一つ目は、「志や夢をもって、その実現に向けて努力する」ということです。皆さんは、これまでいろいろなことに挑戦し、数多くの壁を乗り越えてきたことと思います。しかし、中には、うまくいかず悩んだり、立ち止まったこともあったでしょう。これからの人生においても、自分がしたいことが何もかも成功するとは限りません。困難を乗り越えなければいけない時、挫折しそうになる時、どんな時も、志や夢を持ち続け、自分のできる限りの努力を積み重ね、前に向かって進んでください。くじけることなく、夢の実現に向けて立ち向かうことで、必ず、困難は乗り越えられます。夢の実現への近道や簡単な方法などありません。いろんなことに挑戦して、人一倍努力を重ね、最後まであきらめずやり遂げる。苦しいことに決して背を向けず、勇気を持って力強く、夢に向かって具体的に行動してください。
聖書、コリントの信徒への手紙10章13節に「あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」とあります。乗り越えられない困難や試練はありません。夢のあるところに道は必ず拓けます。夢に向かって、努力を惜しまず邁進してください。
そして、もう一つは「失敗を恐れず、失敗から学ぶ」ということです。失敗を恐れず、新しいことにチャレンジする力、失敗してもめげない力、失敗から学ぶ力を身につけてほしいと思います。人生に失敗はつきものです。変化の激しい、予測が難しいこれからの日本の社会で、若い力による新しいことへの果敢な挑戦は不可欠となります。失敗する時もあるでしょう。そんな時、自分の未熟さを責めないで、そこから立ち直り、多くのことを学び、新たなる挑戦をしてほしいと思います。失敗の経験は、決して無駄なことではなく、自身の力となり、成長の糧となります。失敗を恐れず、あきらめないで様々なことにチャレンジしてください。
校祖新島先生は、1887年、明治20年6月19日の同志社普通学校卒業式で、「進め、進め、好男児、決して退歩の策をなすなかれ。諸君、今日の日本の改良は諸君に期待しないで、いったい誰に期待すればいいのだろうか。」と卒業生を激励されました。
どうか皆さん、本校で培った力を礎に、日本、いや世界に向けて羽ばたいて下さい。世界の未来は、皆さんに託されています。今後、ますますのご活躍とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
最後になりましたが、保護者の皆様にお祝いとお礼を申し上げます。本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様の健やかな成長を願って支えてこられた皆様には、さぞや苦労も多かったことでしょう。今日の佳き日を迎えられ、立派に成長されたお子様の姿に感慨もひとしおかと存じます。教職員一同、心よりお慶びを申し上げます。今日まで本校にお寄せいただきましたご支援、ご協力に深く感謝を申し上げます。今後とも本校の教育に益々のお力添えを賜りますようお願いを申し上げ、式辞といたします。
卒業生の皆さん、また会う日まで、お元気で、ごきげんよう。
二〇一九年 三月八日
同志社香里中学校・高等学校
校長 瀧 英次