8月27日(木)、同志社大学生命医科学部にて1日実験セミナーが行なわれ、「ロボットの仕組みと働き」と題して医工学科の積際徹先生にご担当いただき、本校生徒10名が参加しました。
まず初めに、ロボットの仕組みと働きというテーマで、今日何を勉強するのかということについて、具体例を交えながら易しく解説して下さいました。その中には、ロボットについての理論を数式に表したものもあり、生徒は少し驚いていましたが、「実はそれぞれ簡単なことを1つの式の中に関数として表現しているだけで、言葉で説明すれば簡単なことなのですよ」と解説して下さいました。
また、実際のロボットとして有名なアシモフの動きや、アメリカの軍事予算で作られたBigDogというエンジンで動く4足歩行ロボット(まるで2人の人間が互いに正面を向いて相手の肩に両手を載せ、腰を折っているような恰好をしている)の、完成形に近い動きを見せていただきました。人型ロボットでは、顔を人に似せると、あまり似ていないときはかわいいと思えるが、よく似てくると心理的に不気味さを感じるようになるという「不気味の谷」という現象も感じさせていただきました。このようにさまざまなロボットの映像を見させていただいた後に、本日の本題であるロボットの仕組みと働きについて、それぞれ具体的に実験を交えながら教えていただきました。
まず、力を出すモーターの特性として、電池の個数とミニ4駆の走る速さの関係を実験で調べました。用意された長さ4mのコースを走らせて、タイムを計測しました。1個の場合には9.30秒かかったのに、2個では2.51秒、3個では1.75秒とだんだんと速くなり、電池の数とミニ4駆の速さ、つまりモーターの回転速度が比例することがわかりました。
次に、力を倍増するギアの働きとして、ギアについて実験で学習しました。モーターの軸につけたのが駆動ギアで、それによって動かされるギアが被駆動ギアといい、この割合をギア比といいます。
ギア比=被駆動ギアの歯の数÷駆動ギアの歯の数
で、表されます。このギア比が小さいと回転数が大きくなるため、スピードがアップします。一方、ギア比が大きくなると、回転数が小さくなりスピードは落ちますが、回転力(トルク)は大きくなるそうです。これが本当かどうかをギア比1,12.7,38.2,344.2という4つの場合に、それぞれのモーターが持ち上げるおもりの重さを比べました。結果は、ギア比1の場合が3g、12.7の場合が70g、38.2の場合が500g、344.2の場合が2700gとなり、理論どおり、ギア比が大きいほど、より重いものを持ち上げていました。
また、ギア比38.2と344.2の二つを使って、回転速度をメビウスという装置を使ってモニターして計算で求めたところ、ギア比38.2では0.7,ギア比344.2では0.09となり,これも理論通り、ギア比が小さいほど速くなっていました。また、理論にもとづき、ギア比344.2で求めた回転速度からギア比38.2の場合の回転速度を計算すると、
(0.09×ギア比344.2)÷ギア比38.2=0.81
となりました。これは実験値に近い数字といえます。これらのことから、ギアで回転速度が1/nになれば、力はn倍になるということが示されました。
三番目に、モーターの軸の回転運動を並進運動に変換するためのクランクについて、その構造と働きを実験で示してもらいました。
最後に、これらの要素が入ったものとして、モーターにギアをかませ、脚を上下運動させられるようにした、6足昆虫ロボットを実際に各自が組み立てました。設計図にもとづいて組み立てましたが、慣れないせいか、てこずっている生徒も多く、早い生徒で約1時間20分、遅い生徒では約2時間かかっていました。できあがったロボットを実際に使って、サッカーゲームを楽しんでいました。学んで、遊んで、あっという間の4時間が過ぎ去りました。
◆生徒の感想
・ロボットについて全然知らなかったが、これで知ることができた。モーターについても詳しい説明でよくわかった。ロボットの作成は手こずりましたが楽しかったです。
・講義の時はあまりよくわからなかったが、実際にロボットを組み立てるときに説明されたので、講義の内容が理解できるようになった。
・さまざまな実験とロボットの作成が楽しかった。
・ロボットの仕組みについて、それぞれ実験があったので、わかりやすかった。
・TAの方々と色々な話ができてうれしかったです。実験や自分で作るのは大変でしたが、達成感があり、機械系に興味がわきました。来てよかったです。
・わかりやすく説明してくれて楽しかった。
・仕組みを理解しつつ、実験で楽しく学ぶことができた。
・とても楽しく、進路の参考になった。
・とても興味深い実験で、ロボットの要素を確認しながら理解できてよかったです。1つの学部の雰囲気を間近に感じられて、進学の参考になった。
・モーターの特性やギア比について詳しく知ることができた。