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行事ニュース

最先端科学入門講座(同志社女子大学薬学部)報告

9月12日(土)、最先端科学入門講座(薬学部)が本校で行なわれ、高校生21名が参加しました。「有効かつ安全な薬物療法を提供するために」と題して同志社女子大学薬学部の松元加奈先生にご講演いただきました。

以下、報告です。

同志社大学薬学部の教員になる前は、病院薬剤師をしていた関係もあり、医療寄りの研究をしているとご自身の自己紹介のあと、先進7か国(日米英仏独加伊)のなかで、日本は人口比当たりの薬剤師数は何番目か?日本では薬局とコンビニとはどちらが多いか?といった興味深い質問から始まり、薬剤師は日本が一番多く、日本の保険薬局数もコンビニ店より多いという紹介があり、医療に関係する薬剤師の役割の大切さを、ご自身の研究も紹介しながら、わかりやすく説明していただきました。

まず、薬剤師が、薬物血中濃度を分析し、個々の患者さんにとって最適な用量・用法を医師に提案(投与設計)することが大切であるとのことで、薬効があらわれて毒性が出ない範囲を見つける研究により、抗菌薬がそれまでは10%にしか効果がなかったのが、50%に効果が表れるようになったとのことが示されました。

さらに薬剤師の指示「コップ一杯のお水でお飲みください」の意味として、水の量や一緒に飲む飲料が薬効に大きな影響を与える場合があることや、風邪薬の処方で抗菌薬が必要かどうか、どの薬が適切かを、グラム染色という手法により細菌を4種類に分類し、それに合った抗菌薬を処方し、患者に具体的に説明し納得してもらいながら薬を投与することが大切であることが説明されました。こうした薬剤師の働きにより、抗菌薬を使用しない割合や、投薬を1種類だけにする割合が増えるという、医療行為の前進につながっていることも示されました。

薬剤師が医療に関与することにより、薬の適正使用を促すようになってきたとして、次の4点についてさらに詳しい説明がありました。

1.適切な薬剤を選択する。

遺伝子の変異で、薬の投与に特別の注意が必要な場合もあることが例示され、薬剤師による適切な薬剤の選択の重要性が説明されました。

2.適切な用法・容量を設定する。

日本は、最大投与量が欧米より少ないため、菌が死滅しない場合や耐性菌を作ってしまうことが指摘されました。

3.投与方法を順守する。

服薬中断の世界平均が22.3%であるのに対し、日本は34.4%と中国に次いでワースト2であることが示され、正しい服薬の重要性が指摘されました。

4.薬剤費を安く抑える。

後発医薬品の使用も大切であるが、後発薬の中には投与方法が昔の不適切なままのものがあることも指摘されました。

以上の4点すべてについて、薬剤師の関与が重要であるとの説明がありました。

最後に、同志社女子大学薬学部の紹介があり、「研究者は薬剤師でなくてもよいが、薬剤師は研究者でなければならない。」という理念のもと、4年次~6年次では研究室に所属して研究をし、学会発表もしているとの紹介がありました。本校の先輩で臨床薬剤研究室所属5回生の米原舞さんの「先端的研究にまい進し、リケジョの一人として、命の大切さと向き合っています。」とのメッセージで締めくくられました。

◆生徒の感想

①この講座で最も印象に残ったこと

・薬剤師の仕事が調剤だけでなく、色々な仕事があるんだと思いました。薬のことも知れてよかったです。

・研究者が薬剤師である必要はないが、薬剤師は研究者でなければならない」という言葉に、薬剤師の必要性を感じました。

・先輩のメッセージが嬉しかったです。

・薬の濃度をしっかり考えないと菌が耐性してしまうということがわかりました。処方された通りに薬を服用しないといけないと思いました。

・「コップ1杯の水で薬を飲んでください」って薬局でいわれる理由が知れたこと。

・薬を飲んでも、効き目がない範囲があるのはとても印象的だった。

・薬の飲み方で薬の効き方や毒性が違うということ。

・薬は水1杯で飲まなければならないこととか、薬の使い方がしっかり決まっていること。

・日本の薬の量が少ないこととか、世界で2番目に薬の飲み方ルールを守らないとかびっくりすることが多くありました。

・水以外のもので薬を飲んではいけないということ。これから気をつけたい。

・薬によってはグレープジュースと一緒に飲むと作用が増幅するものがあるということ。

・薬学では薬を選ぶだけでなく、研究もしているということに驚きました。

・飲み方によって効き方が全く違うということ。(水以外で飲むと効き目がない)

・薬剤師の仕事は調剤だけではないこと。

②講義全体の感想

・薬について詳しく知れてよかったです。難しかったけど丁寧に説明くださってわかりやすかったです。

・将来薬剤師を目指しているので、今回の講座はとても参考になりました。難しいこともあったんですが、がんばって勉強していきたいなと思いました。

・薬学部のことはパンフレットでしか知らなかったので、より詳しく知れてよかったです。

これから進路のことも少しずつ考えていきたいです。

・自分が思っていたより、日本は他国に比べて処方される薬の量が少ないと知って驚いた。

・薬のことや薬剤師のことなど、いろいろな事についてより詳しく知れたのでよかったです。

・薬学部のこととか、薬剤師のことをはっきりとわかっていなかったので、すごく細かいところまで説明が聞けてよかったです。

・進路の参考になりました。

・専門的な話もあって少し難しかったけど、薬の詳しい話しが聞けてよかったです。

・大学生になったらこのような難しい授業を受けると思うと怖くなりました。

・とても難しかったけれど、興味をもてました。

・思ったより身近な内容が聞けて、これからの生活に生かせると思いました。

・たまに薬を飲み忘れることがありますが、気をつけようと思います。

・パワーポイントがとてもわかりやすくて、すごく理解しやすかったです。進路の参考になってよかったです。

・難しいことも易しく説明してくれ、わかりやすかったです。

・グラフを用いた血中濃度との比較がたくさんあり過ぎて、少し混乱しました。この講座を受けてやりがいのあるかっこいい仕事だと思いました。

・私はアトピーを持っているので、いつも使っている薬がこんなにも考えられてつくられているのかと、驚きました。