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行事ニュース

最先端科学入門講座(生命医科学部)報告

9月10日(木)、最先端科学入門講座(生命医科学部)が本校で行なわれ、高校生33名が参加しました。「音の不思議を考える ~聴こえる音、聴こえない音~」と題して同志社大学生命医科学部教授の渡辺好章先生にご講演いただきました。

以下、報告です。

音は空気の振動が波として伝わっていくものですが、音の高さは波の周期(周波数)によって異なります。渡辺先生のパソコンから様々な周波数の音を出していただき、生徒達はそれぞれどの周波数まで聞き取ることができるかに挑戦しました。一般的に人間の耳で聞き取ることができる周波数は20~20000Hzであり、年齢を重ねるほど聞き取れる範囲は狭くなっていくそうです。また、同じ大きさ(振幅)の音でも、高さ(周波数)によって「聞こえの大きさ(知覚)」が異なることにも気付きます。

われわれ人間は音を耳で聞いています。空気中を伝わってきた音波が鼓膜を震わせ、その振動が耳小骨を伝わってゆく間に約30倍に増幅され、内耳にある「蝸牛」という渦巻き状の器官に伝わります。蝸牛の内側の表面には有毛細胞が多数並んでいて、それぞれの毛が、自身の受けもつ高さの音をキャッチすると脳へ信号を送ります。日常生活で耳にする音は、多数の高さの音が複雑に混ざり合ったものですので、それらを高さ(周波数)ごとに分解した信号を脳に送り、再び脳で構築することで音を認識しているのです。つまり、音は耳ではなく脳で聞いていると言えます。

音は波として伝わってゆきますが、身の回りで見られる波はどれも同じように伝わっているわけではありません。例えば、水面では水が上下に動きながら波が伝わっていくため、水に浮かぶ落ち葉は横(水平方向)には動きません。それに対して音波は、波を伝える物質(空気など)が波の進行方向と同じ方向に振動することによって生じる疎密の状態が伝わってゆく、縦波というものです。

音波を用いた技術の1つにエコーがあります。これは、自ら発した音波が物体に当たってはね返ってきたものをキャッチすることで、その物体の形や性質を知る技術です。ただし、長い波長の音で小さな物体をとらえることはできず、より短い波長の音をつかう必要があります。コウモリは非常に短い波長の音を発することで、小さな虫の位置や動きを知り、捕えることができます。このような人の耳では聞き取れない周波数の音(超音波)を用いたエコーの一例としては、魚の群れの位置を知るためのソナーや、人体の内部構造を視るエコー検査などがあり、私達の身の回りの様々な分野で活用されています。

講義のはじめに渡辺先生は、高校と大学の授業の違いについて話されました。高校では生徒が受け身の姿勢で授業に参加することが多いのに対し、大学では与えられる膨大な情報を自主的にメモし、取捨選択して自分でまとめる力が必要です。本講義では敢えて資料を配布されなかったため、生徒達は自分なりに話を聞きながら一所懸命メモをとっていました。講義内容もさることながら、このような講義形式を体験したことも、大学で学ぶための良い練習となったようです。

◆生徒の感想

〔最も印象に残ったこと〕

・超音波の様々な利用法がいろいろあること。

・蝸牛のはたらきについて。

・コウモリがエコーを使って着地する動画が印象的だった。

・人工的に模倣できないほど高度なエコーを、大昔からコウモリが使っていること。

・人間よりも動物の耳や脳がすぐれている場合があるということ。

・考えるというのは、物事の本質をつきつめること。

・聞こえる音の基礎を学んだ上での、聞こえない超音波の話が面白かった。

・音の周波数の実験をしていただけたので、音のしくみも理解しやすかった。

・モスキート音など、音にたくさんの種類があること。

・年齢によって聞こえる音の高さが違うので、秘密の会話も可能だということ。

・いま聞こえている音が、いつか聞こえなくなると知ったこと。

・「考える」ことで人間になれる。考えなければ人間ではない、というパスカルの言葉。

・小さな石(物体)からエコーを得るには、短い波長(高音)が必要だということ。

・波紋が起きても、浮かんでいる葉っぱは動かないということ。

・同じ大きさの音でも、周波数が違えば同じ大きさに聞こえないこと。

・蝸牛で音がパーツに分解されて脳へ伝わり、再びまとまって聞こえるということ。

・超音波が私生活の様々なところで使われていること。

〔全体の感想〕

・どのような姿勢で授業を受けるべきかを教わり、とてもためになった。

・大学の講義の雰囲気を味わえて良かった。

・自ら学ぶ姿勢と身に付けなければいけないことを自覚した。

・普段、聞けない内容を深く知れて面白かった。

・目の前のチャンスを見逃さないために積極的に学ぶ姿勢を持ちたい。

・講義内容だけでなく、勉強の仕方についても学ぶことができた。

・難しくてわからないことが多かったけど、楽しい内容だった。

・少し難しい内容だったが、進路を迷っていたのでとても参考になった。

・高校と大学の違いを痛感させられた。これからは「考えて」学校生活を送りたい。

・生命医科学でも物理などいろいろな知識を扱うことに驚いた。

・いろいろなことを考えて、それをつきつめていくのが大学の学びだということがわかった。

・90分間はやはり長く感じた。

・90分の講義は初めてで不安でしたが、集中すれば普段と同じような感覚で楽しかった。

・「勉強=覚える」という姿勢から早く脱しなければならないと思った。

・「考える」ことの大切さ。「私たちがこれからを担う」という言葉が印象に残った。

・音の内容だけでも、動物や光の速度などの様々な分野の内容が出てきて難しかったが、ためになった。

・いま授業で習っている波の話が出てきたので、最先端技術とつながっていることを実感した。

 

最先端生命写真(サイズ減)