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行事ニュース

2019年度 中学卒業式

本日午後12時より、規模を縮小して中学卒業式を香真館にて執り行いました。

2019年度 中学卒業式 式辞

厳しい冬の寒さもいつしか和らぎ、吹き渡る風にも早春の気配が満ちゆく今日の佳き日に、本校での三年間の義務教育の課程を終え、巣立ちの時を迎えられた250名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

また、中学入学以来、今日までお子様を支え、励ましてこられた保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。心からお喜び申し上げます。義務教育修了というひとつの節目を無事迎えられ、喜びもひとしおのものがおありかと拝察申し上げます。これまで本校の教育活動にお寄せくださいました温かいご理解とご支援に対しまして、厚く御礼申し上げます。

はじめに、本日の卒業式は、参加者の皆様の命と健康を守ると共に、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため式次第を簡素化し、列席者も限定しましたこと、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

さて、ここにいる卒業生の皆さんは、今どのような気持ちでこの式に臨んでいるでしょうか。本校で過ごした日々を思い起こしてください。楽しい思い出とともに、苦労したこと、困難にぶつかったことなど、苦い思い出も数多くあったことと思います。それらを乗り越え本日の卒業式を迎えられた皆さんは、入学した時と比べてはるかにたくましく、また人間的にも大きく成長したことを実感していると思います。そのような皆さんに大いに敬意を表すと共に、皆さんの輝かしい旅立ちを祝して、はなむけの言葉を贈りたいと思います。

科学技術の発展により人工知能の開発が加速し、私たちの暮らしが便利で豊かなものになる一方で、近年、自然災害や今回の新型コロナウイルス感染症の大流行など、人間の過去のデータから導いた未来予測をあざ笑うかのような異常事態が頻繁に起こっています。私たちの未来は、意に反して予測不可能で、不確実な時代へと向かっています。

このような時代に生きる皆さんには、主体的・対話的で深い学びを通して、より一層の知識や技能を養い、個性豊かな人間力を育んでほしいと思います。そして、なにより、将来への設計図を自らの手で描いてほしいと思います。これから先、皆さんがこのような力を身につける過程において、幾多の挫折や困難に直面すること、苦しい選択を迫られることもあると思います。そのような苦しい局面に立たされた時こそ、耐え忍び、勇気をもって、諦めず、打開に向けて果敢にチャレンジしてほしいと思います。

先ほど読んでいただいた新約聖書、フィリピの信徒への手紙に、「わたしは、自分の置かれた境遇に満足することを習い覚えたのです。貧しく暮らすすべも、豊かに暮らすすべも知っています。満腹していても、空腹であっても、物が有り余っていても不足していても、いかなる場合にも対処する秘訣を授かっています。わたしを強めてくださる方のお蔭で、わたしにはすべてが可能です」とあります。

私たちは全能ではありません。自分の思うように事を進めることができない時があります。計画を立てても、努力しても、うまくいかないことが多々あります。時には、本意でない道を歩まなければならないこともあります。しかし、その都度、不平不満ばかり言っていても、何の解決にもなりません。

長い人生、うまくいくことばかりではありません。困難や苦悩はつきものです。壁にぶつかった時や自分の力量不足に思い悩んだ時に、人のせいにしたり、自分だけが不幸なのではないかと考えるのではなく、聖書が語っているように、与えられた境遇、自分の置かれた場所で、自分のポテンシャルを信じ、努力すること、頑張ることこそが大切ではないでしょうか。

最後に、校祖、新島先生が、1890年の年が明け、亡くなる直前に詠まれた漢詩「庭上の一寒梅」を紹介したいと思います。

庭上一寒梅   笑侵風雪開   不争又不力   自占百花魁

この漢詩の内容は、「庭先にある一本の早咲きの梅が、厳しい風や雪の寒さを耐え忍び、笑うが如くに平然と咲いている。一番咲きを争うこともなく、また、力まず、自然体で、それでいて、あらゆる花の先駆けとなって咲いている。」このようなものになっています。

皆さんには、新島先生が愛した寒梅のように、困難や苦難に直面しても耐え忍び、無理をせず、いつも笑顔で、自分の置かれた場所で幸せを感じながら頑張ってほしいと思います。

お一人お一人の健康と洋々たる前途が実り豊かなものとなりますことを、心から祈念し、式辞といたします。

本日は、ご卒業、誠におめでとうございます。

2020年3月21日

同志社香里中学校・高等学校

校長 瀧 英次

なお、卒業式の前には、今年度末でご退職される先生方に、全校生徒を代表して中3生徒3名から、感謝の花束を贈呈させていただきました。長らくのお勤め、お疲れさまでした。そしてありがとうございました。先生方の今後のご多幸と、ますますのご活躍をお祈りしております。