本日、午前9時半より本校香真館にて2020年度中学校卒業式が行われました。
校長式辞
暖かな春の訪れを感じるこの佳き日に、ご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、2020年度同志社香里中学校卒業式を挙行できますことを、心より厚く御礼申し上げます。
本校での3年間の義務教育の課程を終えた、242名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。今、新たな一歩を踏み出そうとしている皆さんの脳裏には、この3年間の色々な思い出が去就していることと思います。楽しいことも、時には厳しいこと、辛いことも、きっとあったことでしょう。
特に、最後の1年は、新型コロナウイルス感染症により、十分な活動ができない日々となりました。3ヶ月にも及ぶ臨時休校や部活動の休止、”Stay Home!”など、皆さんの日常は一変しました。学校再開後は、新しい生活様式での学校生活となり、戸惑った人も多かったと思います。また、予定されていた体育祭や文化祭などの学校行事が大幅に変更され、これまで皆さんが、普通に行なってきたことができなくなり、もどかしさを感じたことでしょう。このような状況の中、皆さんは、勉学や学校行事、部活動に前向きに取り組み、たくましく、また、人間的にも大きく成長しました。これまでの皆さんのたゆまぬ努力に、心から敬意を表したいと思います。
さて、これから皆さんが生きて行く時代は、少子高齢化、IT化、グローバル化など、変化が激しく、今まで通用してきたことが通用しなくなる時代になります。また、これからは、色んなことが人工知能にとって代わり、ビッグデータやロボットなどを活用した新たな社会に向かうと言われています。そして、グローバル化を象徴するかのように、瞬く間に世界中に拡大したこのコロナ禍により、ものの価値観や考え方が大きく変わり、社会は大きく変化すると予想されています。このような予測困難で、価値観が大きく揺れ動く、変化の激しい社会においては、自分で課題を見つけ、自らの力で課題を解決する力、つまり、「自分で考える力」が求められます。決まった正解がなく、いくつも答えがある状況の中で、自分で考え、最も良い答えを見つけ出さなければなりません。
17世紀のフランスの哲学者・パスカルの随想録「パンセ」の中に「人間はひとくきの葦にすぎない。自然の中で最も弱いものである。だが、それは考える葦である」という一節があります。この一節は「人間は考える葦である」という有名な言葉として後世に残されていますので、皆さんもご存じだと思います。パスカルは「人間は風が吹けば飛ぶような一本の葦のように弱い存在ではあるが、人間は他の生物と違い『考える』ことができるので偉大である」と説きました。人間はどんな困難にぶつかっても、考えて解決策を見出すことができるのです。
皆さんには、是非、将来を意識して、自ら学び、「考える力」を身につけてほしいと思います。人は、学ぶことで、今まで知らなかったことを理解し、できなかったことが、できるようになります。学ぶことで、人は「考える力」が養われます。「考える力」があるから、判断し、行動できるのです。どうか皆さん、これからの高校生活においても、学ぶことへの好奇心、意欲を持ち続け、困難に背を向けず、果敢に挑戦してほしいと思います。皆さんの更なる成長を心から願っています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。慈しみ、大切に育ててこられたお子様の立派に成長された姿に感慨もひとしおかと存じます。教職員一同、心よりお慶びを申し上げます。今日まで本校にお寄せいただきました温かいご支援と多大なるご協力に深く感謝を申し上げますとともに、今後とも本校の教育に益々のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
併せて、本日は、感染の拡大防止のため、各ご家庭、お一人の参列とさせていただきました。これにより、この場にご参列いただくことがかなわず、画面をとおしてご覧いただいている方もいらっしゃるかと思います。皆様のご理解とご協力に厚く御礼申し上げます。
それでは、卒業生の皆さんお一人おひとりの旅立ちを祝うとともに、今後、益々のご活躍とご多幸を心よりお祈りして、式辞と致します。あらためまして、ご卒業、おめでとうございます。
2021年3月19日
同志社香里中学校・高等学校
校長 瀧 英次