8月27日(水)、同志社大学生命医科学部において1日実験セミナーが行われました。9名の生徒と2名の引率教員が医生命システム学科・システム生命科学研究室にお邪魔し、「制限酵素を用いたラムダDNAの切断と電気泳動」と題して、野口範子教授と浦野泰臣助教に担当していただきました。ヒトの体とDNAについての簡単な解説と、本日の実験の目的を説明していただいたあと、手袋と白衣を装着し、本番実験の練習に入ります。ピペットマンの使い方として、先端のチップの付けかえ方や、吸い取り方、吐き出し方などを入念に練習し、各自微妙なコントロール感覚を身につけました。
ここからはいよいよ本番の序の口で、今日の主役である「制限酵素」と「切断すべきDNA」を混ぜ合わせたチューブをつくり、人間の体温ぐらいに設定された恒温槽につけたまま、1時間反応させました。生物学の実験には、このように待ち時間ができることもよくあります。この間を利用して昼食をとり、TAをしてくれている先輩たちに色々と話を聞き、楽しい時間を過ごしていました。
午後からは、電気泳動の準備に取りかかりました。電気泳動とは、切断したDNAを大きさによって分離する方法で、電圧をかけてマイナスの電気を帯びているDNAを正の電極側におびきよせるのです。大きなDNAほど進みづらいため、移動した距離によってDNAの大きさが判定できるというわけです。
寒天のゼリーに、変異原性のあるGelRedという赤い試薬を加え、電気泳動装置に入れてスタンバイしたら、いよいよ分離すべきDNAのサンプルをゲルにおくことになります。腕が震えてゲルの小さな孔にチューブの先を引っかけて壊したり、先で底に穴を開けたりしないように、細心の注意を払いながら、午前中に自分たちがつくったもののうち、10_という極少量をていねいに注いでいきます。これで準備完了、通電して30分、分離されていくのを待ちます。
分離されたDNAは肉眼ではわからないため、紫外線を当てて観察します。結果、HindⅢという酵素で切断したDNAからは8個のバンドが現れ、PvuⅡという酵素で切断したDNAからは14個のバンドが現れました。それぞれのバンドを予備実験や公表されている数値と比較したところ、だいたい妥当な大きさに類推できたということがわかり、実験は成功裏に終わりました。
実験では、TAの大学院生さんが班ごとにつきっきりで指導に当たっていただいたため、混乱なく順調に実験を進めることができましたが、この実験そのものは、3回生の秋学期に行う実験だとのこと。
実験後には研究室ツアーをしてもらい、実際の研究で使われているヒトの細胞をみたり、0.2μ㍍の大きさのものまで除去した水を作る装置をみたりしました。最後に、3学年から代表者がそれぞれ感想と感謝の意を述べて、セミナーを終えました。
TAさんの説明に熱心に耳を傾ける生徒たち ピペットマンの使い方を練習する生徒
浦野先生直伝のピペットマンの使い方 制限酵素とDNAをチューブに入れる
紫外線を照射し、DNAの赤いバンドを観察中。