2014年8月26日(火),同志社大学理工学部,化学系の加藤将樹教授(機能分子・生命化学科)の研究室にて,『セラミック超伝導体をつくってみよう』と題する「大学実験セミナー」が催されました。高1~高3まで13名の生徒と,2名の引率教員がお邪魔しました。
講座が開始されるなり,「物質の合成」と「超伝導現象」に関する,難しそうな説明書をわたされました。まずは,今日の実験に必要な試料のグラム数を決定するために,計算から。高校1年生は,まだ「化学」の授業で「モル計算」の方法を習っていません。3年生はさすがに自分から手が動きますが,2年生はちょっとあやふやな生徒もいて,四苦八苦。大学院生のお兄さんお姉さんに教えてもらいながら,なんとかクリアしました。
先生からの「大学3回生でも,この計算をやってもらうともたつきます」のフォローにちょっと一安心? 計算の結果,「お,いい線行ってるね」と声をかけてもらい,学校の化学の時間に学習したことが,さっそく役に立ちました。
続いて,測りとった試料を集めてすりつぶす作業,成形圧着の容器に入れる作業,マスクをつけて重装備の上,慎重さが求められます。1時間半にわたって緊張状態を強いられ,少し疲れた様子です。
午後からは,午前中に自分たちが合成した物質が,「超伝導」現象の1つである「マイスナー効果」を示すかどうかを,試してみました。「マイスナー効果」とは,平たくいえば「ある温度以下の低温で,どんな磁場も打ち消してしまう反磁性の性質を示す」ことです。説明をうけてから,液体窒素によって-190℃以下に冷やした磁石の上で,先ほどの物体を浮かせてみようというのです。院生の先輩が手本を見せたあと,生徒たちも1人ずつ挑戦してみました。「ストレスたまる~」と言いながらも,次々に成功させていたのはさすがです。また,電気抵抗が本当に「ほとんど0」になったかどうかを,通電して確かめる実験もさせていただきました。
作業の合間に大学院生のお話などを聞かせていただくことができたのも,よかったです。
また,ラボの電子顕微鏡を見学させていただき,操作方法を教えていただいて,自分たちもさわってみることができました。顕微鏡のしくみの話は,高3の後半で習う物理の知識を必要とするもので,理解は難しかったようですが,実際に操作させていただくと「なんとなく知識が頭に入ってきた」ような感じがするらしく,不思議なものです。身近な100円玉の表面を10万倍にも拡大してみると,実はでこぼこだらけであることに驚き,また,自分たちが作成した試料の表面を見られるのもうれしかったようです。
◇参加した生徒の感想から
・今まで見たことのない設備などを見て,すごいなと思いました。実験も今までやったことのないようなもので,難しかった。
・マスクをつけて行う作業は,肺に入って病気になる可能性もある中での実験なので,大変だなと思いました。
・めずらしい機械,ふだん見れないものが見れてよかった。大学院生の話を聞いて,参考になった。
・わかりやすく教えていただいて楽しかった。今までにない経験ができてうれしい。
・分からないこと,知らないこと,難しいことをかみ砕いて説明してくださったので,なんとなくわかったような気がしました。電子顕微鏡の操作がとくに楽しかったです。
・難しかったけど,実験が楽しかったし,顕微鏡で自分たちが作ったものを見れたのも面白かったです。
・高校1年生には全体にレベルが高かった。しかし,院生の方々のサポートもあり,実験自体は楽しめた。今後参加する機会があれば,実験だけでなく,内容もより深く理解できるようになりたい。