本日、午前9時半より本校香真館にて2018年度中学校卒業式が行われました。
校長式辞
桜の蕾が少しずつ膨らみはじめ、風のにおいや陽だまりの温かさに、確実に春が近づいていることを感じる今日の佳き日に、本校での三年間の義務教育の課程を終え、巣立ちの時を迎えられた240名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。心からお喜び申し上げます。義務教育修了という、ひとつの節目を無事迎えられ、喜びもひとしおのものがおありかと拝察申し上げます。これまで本校の教育活動にお寄せくださいました温かいご理解とご支援に対しまして、厚く御礼申し上げます。
ここにいる卒業生の皆さんの多くは、さらなる三年間を同志社香里高等学校で学びますが、中には、今日、本校を巣立ち、他の高等学校へ進学する人もいます。いずれにせよ、皆さんには、同志社香里中学校で学んだことを糧として、これからの高校生活を実り豊かなものにしてほしいと願っています。
現在、私たちを取り巻く社会は、色々な意味で大きく動き、また揺れています。グローバル化の急速な進展や、人工知能の飛躍的な進化など、社会の変化が加速度的に進み、その仕組みが大きく変わろうとしています。一方で、少子高齢化や人口減少、地球温暖化問題など、過去に経験したことのない大きな問題に直面し、価値観そのものが多様化し、従来のものの見方や考え方では対応できなくなってきています。このような時代に生き、しっかりと自分の道を切り拓いて行く皆さんに、二つのことをお話ししたいと思います。
一つ目は、「努力を怠らず、主体的に学び続ける」ということです。「学ぶ」ということは、単に知識を身につけることだけではありません。新たな状況を自分の頭で理解し、課題を解決する能力が求められるとともに、人間力を向上させ、自らを律し、人として成長していくことが求められます。そのためには、いろんなことに興味や好奇心を持ち、挑戦しなければなりません。努力を積み重ねなければなりません。皆さんは、これまでも色んなことにチャレンジし、数多くの壁を乗り越えてきたことと思います。これからの人生においても、困難に直面し、一生懸命やってもうまくいかないことや、挫折し、悔しくて涙することもあるでしょう。そんな時に、失敗を恐れず、自分を信じて、前を向いて歩み出すことが大切です。
物理学者で、20世紀最大の天才と言われているアルベルト・アインシュタインは、「天才とは99%の努力と1%のひらめきである。」と名言を残しています。天才と呼ばれている人も、輝かしい業績の裏には、血のにじむような努力があるのです。自分の才能におぼれることなく、常に謙虚な姿勢で、人の何倍もの時間をかけて、研究に取り組んできたのです。失敗、失敗の連続であっても、様々な努力と創意工夫を重ね、突破口を見つけ、成功に結び付けてきたのです。「努力を続ける事の大切さ」を忘れずに、自ら学び続けてください。
もう一つは、「自分のためだけでなく、人に優しく、人のために行動する」ということです。私たちは一人で生きていくのではありません。いつも人との関わりの中で成長し、支えあって生きています。今、皆さんの周りにいる人たち、そして、これから出会う人たちを大切にしてください。自分のためだけでなく、人のために何かをしてあげられる人、弱い立場の人や困っている人に、優しく手を差し伸べ、夢や希望、勇気や元気を与えられる人になってください。グローバル化、多様化する社会では、多様な他者と関わり、お互いの考えを伝え合い、よりよい考えや行動を導いていかなければなりません。自分の考えをしっかりと持ち、相手をおもいやり、人に喜んでもらえる生き方ができる人こそ、これからの社会で活躍できる人となります。
皆さん、ぜひ、本校で培った力を礎に、失敗を恐れず、学ぶことへの好奇心、意欲をもち続け、主体的な学びに向けて努力し続けてください。そして、学ぶことにより得た知識や才能を、自分のためだけでなく、世のため、人のために役立ててください。
校祖、新島先生は、同志社を設立するにあたり、「ただ、技術や才能ある人物を育成するだけでなく、いわゆる『良心を手腕に運用する人物』を養成すること」を教育の理念に掲げました。以来140年余り、同志社は、知識の教授は勿論のこと、その得た知識を正しく運用できる、良心に満ち溢れた人物を育成してきました。皆さんの新しい門出に、同志社で学ぶ意義を再確認していただければ幸いです。
結びに、皆さんお一人お一人が、さらに成長されますことを、心からお祈りして、式辞と致します。
ご卒業、おめでとうございます。
2019年3月19日
同志社香里中学校・高等学校
校長 瀧 英次